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「NY」

ニューヨークの中心部、車の通りが多い大きな交差点の歩道橋をわたろうとして、どうしても足を止めてしまった。
赤いレンガを敷き詰めた道の端にはいくつもごみの山ができている。
ダンボールや発泡スチロールやペットボトルやはけなくなったスニーカーやらをなんとなく大人の腰くらいの高さまで積み上げてまとた山。そしてその山にまみれて小さな子供たちが何人も這いずり回っている。おそらく歩くことはもうできないのだろう。幼稚園に入るかはいらないかの年の子供ばかりだ。褐色肌の女の子がカップヌードルの空容器を二つ抱えている、と思うと食べだした。あまりに違和感のない挙動だったためにしばらく何も感じなかった。数秒。それから鈍化した私の舌が発泡スチロールの味を想像しだす。「おそらく人工甘味料や化学調味料を体が小さいうちから取りすぎた為に食べることをやめられなくなったのでしょうな。」
この街は餓えている。車の排気ガスが手を振ると人間の口から灰色の泡が吹きだす。食べるものならあるのだ。
ごみの山を掻き分けて少年が二人現れる。体の小さな少年は細い手足と頭、体にはダンボールや厚紙の芯をつめている。体が大い方の少年が小さな少年の胸のあたりから芯を引き抜いて食べてしまう。ありもので構成した小さな少年の体は崩れてしまう。おなかや胸の肉がない。手足と頭だけはつながるようにフレーム状に肉を残して、体にドーナッツの穴が開いている。「食べられてしまったのでしょう」教授は言いにくそうに言葉を濁した。小さな少年の体が這いずろうとして少しだけ手を動かしている。目は探している。大きな少年がダンボールをあらかた味見してとうとう小さな少年の白い腹に手をかけて、動きを止めてしまう。私の周りがいっせいに動き出す。歩行者信号が青になった。私もつられるようにして横断歩道をリズミカルに渡り、振り返りながら「やはり。人間を食べるのは抵抗があるのでしょうか」私B「なんていう言い方をするんだお前ばかが。あれはお前なんだから偉そうなことを口に出すじゃない」教授は灰色の泡を溢しながら逡巡してやはり考えるのをやめた。
2013-02-19 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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