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鎌倉のありふれたこけし屋

鎌倉にはこけしの店がたくさんあります。

そしてこけしがたくさん並んでいるし、わたし達はこけしを見るだけ見て(しかも、そこまで興味はなさそうに)結局購入には至らないのですよ。した。
店主がまあ、そうでしょうね、といった顔をしているので、それに対して私は、どうしたこけし屋なんてはじめたんだ、って心の中で思って、なんとなくその雰囲気を感じとった店主は、うるせえーおれがはじめたのではなくて先々代のおじいちゃんからの店なんだ、今に見ていろ、あと3年くらいで資金を貯めたら店を改装してこけしを展示する洒落たギャラリーカフェにする計画がある、その段になれば別冊オズマガジンとかが取材に来て鎌倉に関する有識者には知られた店になるのだ、と思っている。
わたしは店主のそういった思想、今後に対する展望を感じとって、現実的にはそうそううまくいかないぞ、そのような接客態度では溜まる金も溜まらないからまずはそれを改めるべき、洒落た店にしていきたいのであれば雰囲気もカジュアルで身近、入りやすいものへと変えていかなければ、結局のこと資金繰りをなんとかしても、その努力は水泡に帰すであろうよ、と思ったのでした。気がつくと眼前には大仏様がおわする。さすが、仏の街、鎌倉。とは言え店主も生の大仏様の面前に伏したのははじめてのご様子で、額の三本線の皺の隙間から汗を滲ませている。いやいや、大仏様の前でそのように体裁を取り繕ったところで、大仏様は我々、人間の考えることなど既にお見通しでいらっしゃるのであります。お見通しの上で、我々には想像も付かない次元で物事を見据えていらっしゃる。それを分かったかのように赤くなったり青ざめたりとは、愚、大仏様を我々と同じ次元の存在と考えている時点でひどく失礼に値するのですよ。わたしは、店主に対してそのようにテレパスを送った。だが、テレパスが受容されず店主の身体をすり抜け、地面に落ちてしまったのを感じとり、振り返ると店主の身体は金剛に輝き、発光しているのだった。これは…考えずとも分かる。大仏様の成されたことである。我々のような人間風情には、大仏様がなにをお考えになり店主を光らせ賜うたのか、理解の及ぶところではございませぬが、兎も角店主様はお輝きになっていらっしゃった。オオ、なんとお美しい、わたしは店主様の輝きに心を奪われ、暫し恍惚とした。除夜の鐘のように物質の奥深いところから滲み出る金剛の味わい深い響き。気がつくと、その空間全て、金剛に輝き、こけしの一つ一つに魂が宿り、薄っすらと微笑を浮かべている。
大仏様が、この店内の空間に一つの宇宙をお造りになられたのである。そしてこの空間における神、即ちゴッドはまごうことなき店主様、その人であった。店主様の、こけしの顔、一点一点を見つめ、命と意味を与え自在に配置する行為が即ち天地創造に値したのだ。感涙極まり、気がつくとわたしは有明の真珠のような大粒の涙を、はたはたと暗がりの床に打ち付けていた。その暗がりに広がった染みがいつしか金剛に染まり、わたしの身体を覆い尽くしていた。これもまさしく、大仏様の粋な計らいでわたくしを如来にして頂いたのである。江ノ電は小さくてかわいいな。そんなことを考えながら、わたしは帰路についた。金剛の後光を夕闇に滲ませて。乗り換えのついでに品川駅で立ち食いうどんを食べたら汁に金剛が反射してひどく食べ辛かった。
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2013-07-02 : 未分類 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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